1.凸形形状領域に対する2次元ヘルムホルツ方程式系では平面内のあらゆる方向に進行する平面波を離散的に重ね合わせたものを近似の一般解とし、境界を適当に分割して境界条件を満たすための式を求めると振動数方程式が得られることを示した。この方法で求めた固有値は計算規模が小さいのにきわめてよい精度を持つことを明らかにした。その結果日本機械学会論文集に発表した。また、同学会英文誌にも投稿した。 2.1次元的な場合にも同じ考えが適用できることを示すために、3次元配管系と内部流体の連成を考慮した振動解析を行い、結果を実験と比較してかなりの高次モードまで精度のよい結果が安定して得られることを確認した。この結果も日本機械学会論文集に発表した。 3.さらに理論的につぎのことが明らかになった。 (1)ヘルムホルツ系の場合、凸形領域に限定していたが、基礎となる解の一部に特異性のあるものを入れておくことで凹形領域の解析も可能となることが明らかになった。この場合、境界上の積分は数値積分を用いる方がよいが、いわゆる特異積分にはならない。 (2)高次の方程式に支配される板の曲げ振動も平面内の各方向に一次元的に変化する解を重ね合わせれば近似の一般解が得られ、ヘルムホルツ方程式系と同じ手法で境界条件を満たすことで解析が可能であることが明らかになった。さらに、異方性を含むような問題でも基本的に同じ手法が成り立つことが明らかになった。 (3)静的な問題に対応するラプラス方程式や重調和方程式系では各方向に一次元的に変化するものは互いに一次独立性を欠くので解として使えない。その代わり、基礎となる解として極座標系で得たものを用いれば同様に離散化することができることが明らかになった。
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