研究概要 |
近年の車の普及に伴い、長距離運転や夜間走行による疲れからの居眠りによる交通事故が頻発しており、脳波等を指標とした居眠りの検出法が考案されているがそれぞれ一長一短である。本研究では個人差が少なく電極等を装着する必要がない測定対象として眼に関する情報を指標とし、居眠りの検出に役立てる方法を開発する基礎的な研究を行うことを目的とした。 開瞼状態、瞬目、眼球運動量、脳波、主観的眠気度(KSSテスト)等のパラメータについてその時間変動とお互いの関連を解析した。被検者はビデオ撮影したテレビ映像をみることにより自動車運転を模擬した。15〜20分で1セッションとして4セッションの測定を行い(セッション間には10分の休憩が入る)、開瞼状態、瞬目回数、眼球運動、脳波(C3-Cz)を記録した。またセッションの初めと終わりにKSSテストを行った。データは62.5HzでA/D変換し解析に供した。実験は被検者が寝不足の状態で行い、別の日に覚醒時における測定を行った。 その結果、眠い場合では眼瞼は閉じぎみになり、毎分、覚醒時の眼瞼間隔の2,3%〜数%の割合で徐々に閉じ、眠気が増すほどその割合は大きかった。瞬目回数は覚醒時の回数に比べ各セッションでの回数は平均的に少なかったが、セッション間どうし比較するとある程度眠気が増すと回数が増え、更に眠気が増すと減る傾向にあった。瞬目の仕方は眠気が増すとゆっくりした閉眼の後に1〜3回の早い瞬目が続く特徴的なものであった。眼球運動量は眠気が増すにつれて少なくまた緩慢になる傾向がみられた。こうした結果から、開眼状態は居眠り検出の指標として役立つこてが分かった。また、脳波、特にα波は眠気をよく反映し、生理的パラメータとして有用であることも確認された。
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