本年度は以下の事柄について研究を行なった。 コンクリート中の粗骨材の存在位置を実験的に調べるために、コンクリート供試体を製作して割裂試験を行ない、その断面内の粗骨材の状況を測定した。測定は、断面内の画像をコンピュータに取り込み、粗骨材の位置、面積を測定することにより行なった。実験結果からは、個々の供試体中の粗骨材の存在はランダムであることが確認された。さらに、供試体全体の実験データを整理することにより、供試体中のある位置に粗骨材が存在する確率は、ほぼ50%であることが確認された。すなわち、粗骨材のある位置での発生確率を0.5となるような乱数を発生させて粗骨材の位置を決定することによりコンクリート中の粗骨材分布を再現できることが結論として得られた。 (2)コンクリート中の粗骨材の位置、形状および大きさの発生状況を疑似実験的にコンピュータで再現するためのプログラムの開発を行ない完成させた。さらにコンピュータで再現させたシュミレーション結果と実験結果との比較検討を行ない、開発したプログラムが、実際のコンクリート中の粗骨材の状況を表現しうることを確認した。 (3)開発したプラグロムは、粗骨材の粒度分布および細長比の最大値、粗骨材を多角形で表した場合の最大頂点数を入力することにより、任意の多角形でモデル化された粗骨材をコンクリート中にランダムに発生させ、さらに、境界要素にも適用できるように、要素データの自動作成機能を備えたものとなっている。今後は、粗骨材界面の数値モデル化および非線形解析に適用可能な境界要素法の検討を行ない、解析ツールの開発を完成させる予定である。
|