研究概要 |
1)本年度の研究解析対象地域の北海度苫小牧市のボーリング記録である苫小牧市内土質柱状図集(北海道建築士会苫小牧支部発行)の記録から,ボーリング点を2500分の1の地形図上に再現した。これをデジタイザーを用いて数値座標に置き換え,また土質をコード化して計算機用の磁気記録としてファイル化した。ボーリング点はほとんど沖積低地部にある。次に,地表下深度12mまでの全土質を10個の継次(順序)カテゴリーにまとめた。カテゴリー中表土,腐植,粘土は非常に出現度合いが低い。 2)これらのカテゴリーに対しこの順番の数値尺度に置き換えるべく,継次カテゴリーに対する数量化理論により計算するための計算プログラムをワークステーションを利用して作成した。19組の結果をえたが,以下に示す重み(Urban-Muler)付き最小自乗法での結果を採用した。表土;-0.994,腐植土;-0.911,粘土;-0.908,シルト;-0.848,砂;-0.822,レキ;-0.066,火山灰;0.804,凝灰質;1.134,凝灰岩;1.332,岩類;1.452 3)これらの数値をボーリング記録の土質にあてはめてWalsh-Hadamerd関数によるスペクトル分解を行った。スペクトルごとのコンター線図によると,交差数(周波数と似た概念)0および1のスペクトル強度が高い地域地域は崖錐地域に,低い地域は海岸平野部に観られ,解析に使用した関数と堆積土質の堆積順序の相似性の高さが証明された。また交差数2以上のスペウトルで強度の高い地域はおもに海岸平野部に点在している。 4)N値もこのスペクトルに分解してみると,交差数0の地域のコンターが高い値を示す地域は苫小牧市明野町および糸井駅東地域である。深度方向のN値の分布とスペクトルを観察すると明野町のそれは,上下に高N値(30-40)中間(交差数2)に較弱な堆積を挟む。糸井地域のそれは地表近くに軟弱な堆積を,下部に高N値(50以上)の堆積が観られる(交差数2)。
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