研究概要 |
流れ計測においては現在,レーザ流速計やPTV(Particle Tracking Velocimetry)のような光学計測技術が最も有効な計測技術となっている。しかし土石流,地震時の砂の液状化,移動床水理等の実験においては,固体粒子が光を遮ったり,屈折させるために,このような光計測技術を適用することができず,現象を理解する上で大きな妨げとなっている。 本研究では,石英ガラスの屈折率1.458よりも屈折率の低い透明体と,水(屈折率1.333)に粘性等を大きく変えない溶質を溶かし屈折率を上げた高屈折率水溶液を用いて,両者の屈折率を合わせることにより,固体粒子を浮遊する流れの光学計測を可能にする技術を開発してきた。 現在のところ,低屈折率透明体としてシリコンゴムの1種,高屈折率水溶液としてヨウ化ナトリウムもしくはヨウ化カリウム水溶液を使う方法が有効であることがわかった。 実際に水理実験を行うには次のような物性を知る必要がある。これらを計測し水理実験に使いやすいように整理した。 1.力学特性:密度,溶液の粘性,透明体の弾性係数等。およびそれらの温度依存性等。 2.光学特性:透明度,屈折率,界面反射率等。およびそれらの温度,波長依存性等。 3.電気的特性:誘電率,電気抵抗等。容量式水位計など電気・電子計測機器の併用のために必要。 4.化学的特性:他の溶質との反応性や化学的安定性等。 5.取り扱い上の注意:毒性(この場合ほとんどない),防錆上の注意,廃水処理等。 (以上18行×40字=720字)
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