研究概要 |
(1)離散化渦法によって振動する2次元円柱の周囲の流れ場と,物体に作用する圧力及び抗力,揚力を計算し,自励振動の発生機構とその制御方法を調べた。その結果,円柱から発生するカルマン渦を円柱の後流にスプリッタ板を置くことによって抑制しても,物体の振動を止めることが出来ないことが明らかとなった。この原因は,スプリッタ板によって両側の剪断層の干渉を止めることが出来ても,物体の振動による剥離剪断層の揺動と,剪断層の巻き込みが激しくなり,結局円柱が振動してしまうことにある。なお,従来の計算では,流れ場,振動円柱ともにオイラー的な観点から方程式を構築していたが,平成4年度の研究の結果,流れ場についてはオイラー的な観点で,振動円柱に作用する流体力の計算については,円柱とともに移動するラグランジェ的な方法で方程式をたてる方が合理的であることが判明した。 (2)従来の曲げ単独の振動装置に代わり,曲げ捩じり型の振動装置より,超高層建築物の渦励振およびフラッタに関する風洞実験を行った。その結果,構造減衰定数1〜2パーセント程度の場合でも,辺長比が大きい場合には,ねじりフラッタが発現する可能性があるが,その発現風速は80m/s以上と十分大きいことが明らかとなった。他方多質点弾性模型を用いた曲げ捩じり振動実験から,ねじり振動に関する構造減衰定数が極めて小さい場合には,設計風速の範囲内においてもカルマン渦放出にともなう激しいねじれ振動が生じることが明らかとなった。平成5年度では,曲げ振動とねじり振動の固有振動数比や減衰定数比を様々に変化させながら,ねじりフラッタや渦励振の発現の範囲を調べる予定である。
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