研究概要 |
本年度は次の3点について研究した。 【.encircled1.】超高層建築物の渦励振・ギャロッピングに対する風向の影響 【.encircled2.】超高層建築物の捩じりフラッタ及び曲げ捩じりフラッタに及ぼす減衰及び曲げ・捩じり固有振動数比の影響 【.encircled3.】複数の建物の相互干渉による流れ場の変化 【.encircled1.】,【.encircled2.】については境界層風洞実験によって検討した。その結果,渦励振・ギャロッピングは風が面に対して直角に当たる場合が激しく,風向角が20°以上の場合には生じないことが明らかとなった。曲げ捩じり振動系による実験の結果,曲げ方向の渦励振・ギャロッピングは曲げと捩じりの固有振動数比によってほとんど影響を受けず曲げ振動のみ生じる場合とほぼ同じ性状を示したが,捩じりフラッターに対しては固有振動比が非常に大きいことが明らかとなった。この場合,従来のフラッター理論から予測されるのは逆に,振動数比が大きい方が捩じりフラッターは生じやすい。 【.encircled3.】については円柱及び角柱に関して数値流体解析によって検討した。風上に風下の半分のサイズの建物を置く場合,建物間の距離が小さい間は風上の建物からは規則的な渦発生が生じず,距離が建物の4倍になった時突然渦発生が生じ,風上と風下の建物に大きな変動揚力が働くようになる。この場合,変動揚力の周期は両方の建物で等しく,風上の建物から渦発生周期に一致する。風と並行に建物を置く場合でも,建物間の距離が小さいと建物間に噴流が生じ後流には規則的な渦列は生じないことが明らかとなった。
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