研究概要 |
本年度の実施結果は以下の通りである。 1.記録文書の翻訳 2.上記記録文書及び記録映像資料の整理 3.これらに関するナチスドイツの都市計画組織設立の流れにそった再編集作業 4.分析 建築家ペーター・ベーレンスが主任デザイナーをつとめていたA.E.G.社新社屋の設計にナチスドイツの建設総監アルバート・シュペーアが大きく関っていたことが記録文書より明らかとなった。 ここでは当時のドイツの大企業とナチスドイツの関わりという解釈をおこなうよりも、きわめて先進的なC.I.(コーポレート・アイデンティティ)計画を展開していたA、E、G、社の核となるベーレンスと、一方国家そのものにひとつのデザイン・アイデンティティを与えようとしていたナチスドイツのシュペーアという組み合せ、すなわち非常に保守的で古い世界(ドイツ大企業,右翼政権ナチスドイツ)とその中の新しい世界(ベーレンス、シュペーア)という組合せの一致に注目すべきである。 このことはナチスドイツが常に古いものと新しいものの組合せ、例えば新しい機能に古い形態の組合せを大衆の目にふれるプロパガンダ技術としてもっていたことを分析するためには、きわめて参考にされるべきものであると考えられる。
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