3軸振動型のボールミル装置を用いて2実験を行なった。容器とボールの材質は、原料金属や炭化水素との反応を避けるため、イットリアで安定化したジルコニア製とした。 ニオビウムノミクロヘキサン系では、約10時間で水素化反応が始まり、約50時間で完全な金属水素化物(N6H)を合成することに成功した。また、この水素化物は10nm程度の微粒子であった。水素の脱離実験と熱的な安定性を、それぞれTDS、DSCを用いて調べた。その結果、状態図から期待されるものよりも約100℃安定であった。これは微粒子表面の酸化層とバルク内部の多量の格子欠陥に水素がトラップされているとの仮定で、説明できた。炭化水素分子の構造変化は、質量分析ガスクロマトグラフを用いて調べた。その結果、シクロヘキサンの脱水素は、ベンゼンに移行する単純脱水素ではなく、開環やクラッキング反応を含む複雑なプロセスをとることが示された。 ニオビウムノテトラリン系では、上記よりも反応時間が約20時間に短縮された。これはチトラリンが、不安定なπ元合をもつことから、脱水素反応が進行しやすいことが原因であった。脱水素のプロセスは、単純脱水素であり、ナフタレンが生成された。
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