本研究は大気中の人体汚染物質や悪臭分子の触媒的除去技術の確立の一環として、耐熱性・高酸化活性の固体触媒の調製を目的としている。その方法の一つとして、低温プラズマ活性化法による担持ペロブスカイト薄膜触媒の合成を試みた。 ZrO_2担体に、Co(OCOCH_3)_2を含浸させ、低温0_2プラズマ処理すると高分散した酸化コバルトに変化した。この酸化コバルトは、プロパン酸化およびCO酸化反応に低温条件下で極めて高活性であり、従来のPt/Al_20_3をはるかにしのいでいる。EXAFSによって、Coの状態を解析したところ、CoはCo_3O_4の状態で存在していることが明らかとなった。さらにCO吸着のIRを測定したところ、2本の異なった吸収が見られ、一つはCo^<2+>、一つはCo^<3+>上に吸着したものであることが明らかとなった。通常の含浸一焼成では分散性の低い触媒が得られ また、Co^<2+>の割合も小さかった。このことから低温0_2プラズマによって、表面には、非量論的なCo_30_4が形成され、このためにCo^<2+>がより多く形成されるものと推定している。 次にペロブスカイト薄膜を合成するために、La(OCOCH_3)_3と先程のCO(OCOCH_3)_2を共含浸させ、O_2プラズマ酸化を試みた。しかし、この場合、La(OCOCH_3)_3は酸化されず、ペロブスカイトは形成されないことがわかった。そこで、Zro_2表面にあらかじめLa_2O_3をコーティングしておき、その後Co(OCOCH_3)_2を含浸させて、Co-La-O薄膜を合成した。この薄膜は比較的熱安定性も高く、高い活性を示した。しかし、EXAFSでは、LaCOO_3型の構造を明確に示すには至っておらず、薄膜状であるために、ペロブスカイトの構造にゆがみがあるものと推定している。
|