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1993 年度 実績報告書

磁気共鳴法による高分子ブレンド中の自由体積の消滅と生成及びその機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 04805091
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

嶋田 繁隆  名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (20024309)

キーワード自由体積 / 電子スピン共鳴 / スピンラベル / 分子相溶性 / ポリマーブレンド / 高分子表面 / 分子運動 / 機械的破壊
研究概要

1.ポリメチルメタアクリレート(PMMA)とポリエチレンオキサイド(PEO)とのポリマーブレンドフイルムを作成し、分子レベル及びマクロレベルでの自由体積の消滅と生成を観測した。試料を室温以上、室温以下のそれぞれの温度で熱処理し、室温で次の様な物理量を測定したところ、約55℃、-20℃でそれぞれ自由体積の生成、消滅に相当する現象が観測された。(1)PEOにスピンラベルし、PEOの分子運動を(2)PMMAにスピンラベルし、PMMAの分子運動を(3)磁気低分子を混入し、マトリックスの流動性をそれぞれESRにより観測した。いずれの場合も分子運動の速い領域が高温熱処理及び低温熱処理により増加、減少した。分子運動の速い領域の絶対量は(2)に比し(1)のほうが多く観測された。これらの事実はブレンド中のPEO-rich領域における成分ポリマーの伸張と収縮による自由体積の生成と消滅を分子レベルで観測できたことを示す。(4)デイラトメーターにより試料体積の熱処理による変化を測定したところ、約0.5%の増加、減少がESRと同じ温度領域で観測された。この測定結果はこの現象がいわゆる、PEOの結晶融解、結晶化によるものではなく、非晶域の構造変化(自由体積の変化)によることが明らかとなった。又、構成高分子の分子量変化から異種分子同士の絡み合いが自由体積の生成に影響することも明らかとなった。
2.ポリテトラフフオロエチレンの機械的破壊を行い、その表面にエチレンなどを共重合させた。その共重合鎖の分子運動を観測したところ、バルク試料に比し非常に速い、例えば77Kにおいて分子鎖末端が自由回転しているなどの現象が明らかとなった。この事実は共重合鎖の濃度が極端に薄く、分子間相互作用が非常に弱く、自由体積が無限に大きい状況が生み出されていることの反映である。分子鎖濃度と分子運動性との関連が実験と理論の両面から明らかにされることが期待される。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Shigetaka Shimada: "ESR Studies on Molecular Motion and Chemical Reactions in Solid Polymers in Relation to Structures" Progress in Polymer Science. 17. 1045-1106 (1992)

  • [文献書誌] Shigetaka Shimada: "Spin Label Study of the Free-Volume Relaxation in a Poly(ethylene oxide)/Poly(methyl methacrylate)Blend" Macromolecules. 25. 2771-2773 (1992)

  • [文献書誌] Masato Sakaguchi: "ESR Study on Molecular Motion of Chain End Radicals of Polyethylene Molecules Anchored on Fresh Surfaces of Polyethylene and Polytetrafuluoroethylene" Macromolecules. 26. 2612-2615 (1993)

  • [文献書誌] 嶋田 繁隆: "高分子複合系の分子運動と自由体積" 京都大学原子炉実験所Technical Report. 383. 31-37 (1993)

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公開日: 1995-02-08   更新日: 2016-04-21  

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