研究概要 |
今年度の研究予定は反応式(1)で示される。 先ず、1と2,0.01molをそれぞれトリエチルアミンのエーテル系溶剤に溶解して、20〜70℃で1〜24時間反応させると、3が得られる。この真空蒸留により精製したものをテトラヒドロフランに溶解し、2倍モルの水を添加して煮沸すると4が生成し、含リンポリマー5が生成すると予想したが、3の加水分解が起こらず、4と5は生成しなかった。そこで、今度はトリエチルアミン:水の混合物(モル比で1:1)を2倍量同様に添加して、加水分解を試みたところ、淡赤色の粘調物を得た。この粘調物のGPCを測定したところ、分子量270、520および780近辺にそれぞれピークが観察され、生成物は原料モノマー3または4(成分A)、5のn=2(成分B)と3(成分C)に相当する化合物の混合物であることが予想された。そこで、これらを分取液体クロマトグラフにより分離し、これらのIRスペクトルおよびC^<13>NMRスペクトルの測定から生成物の同定を行った。その結果、成分BおよびCは予想通り、5のオリゴマーであることが明らかとなったが、成分Aは4のほかにC_6H_5P(0H)_2OC_6H_4COCH_3の可能性もあり、綿密な成分分析が必要であった。また成分BとCが直鎖状であれば自己重付加をする可能性を持つが、実際には条件を変化させても自己重付加を行わないことから、環状化合物である可能性もある。現在のところ、目的の反応が起こっていることは確認できたが高分子量への条件の検索には成功していない。
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