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イネの細胞質雄性不稔性の発現機構を解明する目的で、細胞質雄性不稔系統と栽培イネ間で不均等融合を行い、得られた体細胞雑種個体の示す稔性とミトコンドリアゲノムの構成を比較検討した。
1.不均等融合により得られた雄性不稔細胞質を有する雑種再分化個体のミトコンドリア内の環状DNAと主ゲノムに見られる変異についての解析を行ったところ、雄性不稔個体は必ずミトコンドリアの環状DNAを保持していた。また稔性を示した雑種個体の自殖後代での稔性の変化は、再分化当代の稔性よりむしろ高い稔性を示した。しかし中には低稔性のままで変化の見られない個体もあった。
2.雑種再分化個体の形質発現、特に雄性不稔性と他の有用形質との組換えや核と細胞質ゲノム間の相互作用による形質変化について、交雑後代を用いて遺伝的解析を行ったが、目だった変化は見られなかった。
3.雄性不稔性を示した雑種再分化個体の株保存の過程で稔性を回復した分けつについては分けつ間でミトコンドリア内の環状DNAや主ゲノム等の解析を行うため、ミトコンドリアDNAを抽出し、現在解析中である。
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