ニホンナシ3品種‘おさ二十世紀'、‘菊水'、‘幸水'とリンゴ3品種‘ふじ'、‘つがる'、‘王林'を供試して、それぞれ正逆交雑を行ない、胚培養と実生法を併用して、ニホンナシとリンゴの属間雑種個体を新たに70系統ほど追加・育成した。 これまでに育成した110系統余りの属間雑種個体について、新梢や葉の形態的特性、葉のアントシアニン蓄積の有無、圃場での病害の発病程度等を調査する一方、これらの一部の雑種個体について、接木親和性とナシ黒斑病、リンゴ斑点落葉病に対する検定を行なった。これらの結果から、得られた属間雑種個体の多くは、母親の形質を強く引き継いでいる反面、父親の優性遺伝子もかなり導入されていることが明らかになった。また、ナシ黒斑病とリンゴ斑点落葉病に対して、ナシを母本とした雑種個体では、両病に対する遺伝分離が様々に現われるが、リンゴを母本としたものでは、両病に対してほとんどすべて抵抗性となる興味深い結果が得られた。 一方、ナシとリンゴのカルスからの再分化率は、現在、極めて低く、細胞融合による雑種の育成を困難にしている。現在、リンゴ台木のマルバカイドウで30%前後の高い再分化率を得ており、これらの結果をナシ・リンゴの品種に応用して行く予定である。
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