研究概要 |
昆虫の防御物貭の成分として報告されている化合物の中から、炭化水素類20種類、アルコール類25種類、アルデヒド類32種類、脂肪酸類24種類、ケトン類18種類、キノン類5種類を準備した。さらに防御物貭を生産する昆虫としてコクヌストモドキの成虫、アカハリテントウの幼虫と成虫、アオオサムシの成虫、腐食性昆虫としてニクバエ、イエバエの幼虫、植食性昆虫としてモモノゴマダラノメイガ幼虫をアセトンで洗浄して得た抽出物を用意した。 つづいてこれらの化合物の中の10種類とアカヘリテントウの抽出物のPenicilliumsp.Cladosporium sp.Aspergillus sp.に対する抗菌活性の有無を異天培地法で検討した。これら10種類の化合物のうち、コクヌストモドキの生産する防御物貭の成分である2-methyl benzoquーinoneとその類縁体のPーquinoneは100ppm、10ppmの濃度でこれらの糸状菌の発育を阻害した。またアカヘリテントウの幼虫および成虫の分泌する赤色分泌物は上述の3種の糸状菌のうち、Cladosporium sp,とAspergillus sp.の増殖を1000ppmと100ppmの濃度で阻害することが明きらかにされた。 今回抗菌活性の有無について試験できなかった化合物と名種昆虫のアセトン抽出物については現在検討中である。 以上の結果からこれまでに捕食者などに対する防御対策と考えられていた防御物貭のいつくかは昆虫が生活する環境中に存在する環境微生物に対しても防御効果があることが示唆された。
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