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1993 年度 実績報告書

環境微生物に対する昆虫の抗菌物質生産に関する化学生態学的基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 04806006
研究機関筑波大学

研究代表者

本田 洋  筑波大学, 農林学系, 助教授 (90126160)

キーワード昆虫の防御物質 / 抗菌活性 / 化学生態学 / 微生物 / 糸状菌
研究概要

本研究の目的は、捕食性あるいは寄生性などの天敵動物に対する防御のために昆虫が獲得したと考えられている化学物質、即ち防御物質の機能として、対天敵動物ばかりでなく昆虫をとりまく環境に生息し、かつ彼らの生命を脅かす微生物に対する防御でもあることを示すことにある。まず最初に、これまでに昆虫の防御物質として報告された既知化合物およびそれらの類縁化合物の標品の抗菌活性の有無を寒天培地で培養した7種類の糸状菌を用いて調べた。62種類の供試化合物のうち、α、β-ピネンを初めとする不飽和構造を持つテルペン類の多くは強い抗菌活性を示した。同様の傾向は脂肪族アルコールにおいても観察された。酸類ではジャコウアゲハ類に見られるアリストロ酸やゴミムシ類の芳香族脂肪酸に明瞭な抗菌効果が観察された。このような活性はアルデヒド類、クレゾール類、さらにキノン類にも顕著であり、供試した糸状菌間にはほとんど差は認められなく、多くの糸状菌に抗菌活性を示すと考えられた。次に防御物質を分泌することが知られているアカヘリテントウを含む4種類の昆虫のヘキサン、アセトンおよび水抽出物の抗菌活性の有無を同法で調べた。その結果、同テントウムシの抽出物はいずれも強い抗菌効果を示した。一方、他の昆虫では、いずれもヘキサン抽出物のみに弱い活性があることが判明した。
以上の結果は、これまで天敵動物などに対する防御目的で獲得したと考えられている昆虫の分泌あるいは生産する特異的な化学物質、即ち防御物質には環境微生物に対する防御機能もあることを強く示唆するものであった。

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公開日: 1995-02-08   更新日: 2016-04-21  

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