キュウリモザイクウイルス(CMV)・パパイヤリングスポットウイルス(PRV)・ズッキーニイエロ-モザイクウイルス(ZYMV)・カボチャモザイクウイルスII(WMVII)などのPotyvirus属ウイルスを隔離温室において増殖したのち、各ウイルスを純化しゲノムRNAを抽出精製した。各ウイルスゲノムRNAのcDNAを合成しクローニングした。CPCR(custom polymerase-chain reaction)法により外被タンパク質遺伝子を増幅し、外被タンパク質遺伝子をユニバーサルな植物発現ベクターにつなぎ込み、発現カセット部分をTiプラスミドベクターpGA482GGに組み込んだのちプラスミドベクターをAgrobacterium tumefaciensに導入し、リ-フディスク法により植物を形質転換した。形質転換した植物組織を培地上で培養し、培地の組成を変えることにより再分化させ、幼植物体を順化の後閉鎖系人工気象器に移した。GUS遺伝子およびCP遺伝子の発現の陽性のクローンを選抜した。F1およびF2の種子を得たのち各トランスジェニック植物クローンに対して機械的に各種のウイルスを接種し、その全身病徴の発現の有無およびその病徴程度を調べた。CPの発現量をELISAにより測定し、感染植物体内におけるウイルス濃度の分布やCP発現量の分布を調べた。また各トランスジェニック植物の抵抗性のスペクトルを解析した。接種源のウイルス濃度の発病に対する影響についても調べた。また、CP発現レベルと抵抗性レベルの間の相関関係についても調べた。その結果、CMV・Potyvirus属ともに、外被タンパク質を導入すると広域なスペクトラムで抵抗性を示すことが明らかとなった。また、外被タンパク質の発現量と抵抗性の程度の間には相関関係は特に認められなかった。今後それらの抵抗性メカニズムについて明らかにする必要がある。
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