工場生産のKPと酸素処理KP、それに実験室で調製したKPを理論薬品要求量に対して、50%から1501%の範囲で過マンガン酸カリウムを用いて漂白し、反応液のpH、反応温度、反応時間の影響等を検討した。さらに、漂白シーケンスのなかで過マンガン酸カリウム漂白の有効性を試験した。この結果、下記に示したいくつかの重要な知見が得られた。 1.過マンガン酸カリウム漂白を酸性条件下で70℃以上で行えば、過マンガン酸カリウムは5電子酸化を行い、自身は二酸化マンガンを経由して水溶性無色のマンガン塩になる。その他の条件で漂白を行えば、過マンガン酸カリウムは3電子酸化を行い、自身は不溶性褐色の二酸化マンガンになる。 2.どの条件でも過マンガン酸カリウムから二酸化マンガンまでの反応(3電子酸化反応)はきわめて速いが、二酸化マンガンからマンガン塩までの反応(2電子酸化反応)は遅い。 3.酸性、70℃以下での漂白の場合、反応修了後に残留する二酸化マンガンを可溶化するために等量の還元剤を加える必要がある。 4.中性からアルカリ性では、反応後に残留する二酸化マンガンを可溶化するのに、所定量の酸と還元剤を加える必要がある。 5.結論として、どの条件でも過マンガン酸カリウム漂白は良 好に行われるが、酸性条件で加熱する条件(5電子酸化)では、セルロースの粘度低下が認められ、二酸化マンガンからマンガン塩になるまでに行われる2電子酸化は漂白には効果がなく、セルロースの分解を引き起こすだけであることが判明した。 6.過マンガン酸カリウム漂白後にオゾン、過酸化水素、二酸化塩素などで漂白処理をした結果、充分な白色度のパルプが得られた。
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