KPの漂白シーケンスの初段、あるいは酸素処理後の2段目の処理法として過マンガン酸カリウム処理を導入し、従来の塩素系漂白に替わる新たな漂白法を開発する事を試みた。主たる評価は、パルプの物理的性質を損なわず、漂白シーケンスの後段で高白色度を与えるパルプが得られるかどうかということに絞って行われた。また、過マンガン酸カリウム漂白におけるリグニンや炭水化物の反応に関しても検討を行った。この結果、下記に示したいくつかの重要な知見が得られた。 KPの過マンガン酸カリウム処理は高収率で容易にK価を減少させ、後の漂白処理を容易にした。 漂白したパルプの性質から、過マンガン酸カリウム処理は中性条件で行った方がより優れた強度のパルプが得られたが、反応終了後に残留する二酸化マンガンを可溶化する必要があり、残留過マンガン酸塩と等量の還元剤を加える必要がある。 過マンガン酸カリウム漂白後にオゾン、過酸化水素、二酸化塩素などで漂白処理をした結果、充分な白色度のパルプが得られた。 過マンガン酸カリウム処理パルプの粘度は、粘度測定前にパルプを還元する事により、非還元パルプより4〜5cpほど高い値を示した。これは、過マンガン酸カリウム処理によって、セルロース分子鎖中にカルボニル基が生成し、これが粘度測定でセルロース溶剤として用いられるCEDのアルカリ性によってβ解裂が引起こされた結果であると予想した。 過マンガン酸カリウム処理におけるセルロースの分解は反応初期に起こることが明らかにされた。
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