研究概要 |
広島湾産と三河湾産の二株のアレキサンドリウム・タマレンセを入取した。前者は平成3年度に三河湾で赤潮を形成し,後者は広島湾で平成4年度に発生してカキの出荷に大きな被害を与えたものである。それぞれ,対数増殖期に植え継ぎを行うという操作を繰り返し、連続培養に移行した。しかし、通常のスターラーによる撹拌では細胞に与えるダメージが大きく,連続培養が容易ではないことがわかった。従って,とりあえずはバッチ培養法によって光,温度,塩分等に対する生理的特性を確認することとした。一方,スケレトネマ・コステイタムを用いてリン制限条件下で連続培養を行い、同法の手順の習熟に努めた。これによると,リンの供給形態が河川水由来の場合と底層水由来の場合とでは,細胞の生理的応答に顕著な違いは認められなかった。しかし、両条件ともリン欠乏後にリンが供給されると、リンに限らず他の栄養塩類も急速に取り込むことで,同種の増殖速度を大きく加速することがわかった。 平成5年度に行うアレキサンドリウム・タマレンセを用いた連続培養では,次のように装置の設計を変更する計画である。微弱かつ効率よく培養液を撹拌するため,ティアドロップ型の培養槽を用いて、滅菌空気で緩やかにバブリングを行う。また、光合成活性の上昇により,培養液のpHがかなり上昇することもわかったので,CO_2ガスでpHコントローラーを用いて自動的に微調整できるように考慮する。
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