研究課題/領域番号 |
04806026
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
深見 公雄 高知大学, 農学部, 助教授 (30181241)
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研究分担者 |
山岡 耕作 高知大学, 農学部, 助教授 (20200587)
西島 敏隆 高知大学, 農学部, 教授 (60036738)
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キーワード | 種苗生産 / 初期餌科 / 孵化仔魚 / 鞭毛虫 / 繊毛虫 / 原生動物 / 消化管内容物 |
研究概要 |
魚類の種苗生産における初期餌料として現在多用されているS型ワムシは、魚種によっては孵化後の摂餌開始時期の口径に比較して大きすぎるため、仔魚は効率よく摂餌することができずその初期減耗の大きな原因になっている。このため本研究では、S型ワムシに代わるより小型でかつ大量培養が可能な餌料の開発を目的とし、鞭毛虫・繊毛虫等の原生動物の仔魚初期餌料としての可能性について検討した。 まず天然環境に生息している仔魚が原生動物を捕食しているかを知るために、その消化管内容物を微生物学的な手法を用いて調べたところ、観察した12属31個体のうち6種12個体において繊毛虫と思われる微小原生動物が観察された。このうちトラギス科・ハゼ科の魚種(種名は不明)およびナベカ・マサバでは観察したすべての個体で原生動物の摂食が確認された。一方、アジ科・ネズッポ科魚種(種不明)およびカタクチイワシ・シロギスではいずれの個体の消化管内にも原生動物の存在が見られず、魚種による明確な違いが観察された。 天然海水中より鞭毛虫および繊毛虫を分離し、大量培養のための条件を検討し確立することができた。その結果、鞭毛虫で約4x10^6cells/ml、大型の繊毛虫で2x10^3cells/ml小型の繊毛虫で6x10^4cells/mlの最大収量が得られた。これらの原生動物を種苗生産されたキジハタおよびアユの各孵化仔魚に与えたところ、アユ仔魚は摂食しなかったもののキジハタの仔魚は繊毛虫を摂餌することが示唆された。これらの結果から、原生動物を初期餌料に用いた有用魚種孵化仔魚の飼育が実現可能であることが示唆された。
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