研究概要 |
外国人農業研修生の受入れルートは多様である。その代表的な受入れ・紹介団体は、(1)日中農交、(2)オイスカ、(3)国際農業者交流協会、(4)日タイ友好団、(5)国際協力事業団、(6)国際農友会、(7)県農業団体、などである。この他にも,財団経由や貿易商の紹介あるいは海外協力隊、現地合弁会社、専門学校、大学、などがある。 農業研修生の送り出し国は、中国大陸が主流を占め、その他にタイ・フィリピン・スリランカ・インドネシア・シンガポール・インド・韓国などのアジア系諸国が多い。デンマーク・アメリカ・スイス・ブラジルなどからの農業研修生も少数ではあるがいる。 農業研修生の送り出し・受入れの基準は統一されておらず、制度化は今後の課題として残されている。一応、研修内容は実務研修(OJT)と座学(OFF・JT)に分かれ、OJTは研修期間の3分の2以内に限定されることになっているが、これをチェックする機構はない。したがって、実態的には、就労とほとんど見分けがつかないような農業研修が行われている。実際、研修ビザで入国して研修と就労を同時に行っている例(不法就労)もみられる。研修手当と就労賃金とを比較すれば、日本国内ではいずれの地域でも賃金の方が高く、それが研修生を就労へと押し流す要因ともなっている。また、帰国担保が機能せずに、不法滞在にまで及ぶものもまれではない。 農業分野では、一般的に技能・技術の教育・継承がシステム化あるいはマニュアル化されていない。そうした問題点が外国人農業研修の場では濃縮された形で発現している。政府の発表によれば、外国人研修生の技能実習制度及びその検定・審査制度の充実がなされるようである。だが、農業分野では資格・検定制度にのるような農業技能・技術の認定が他の分野に比べて遅れている。早急に対策が望まれる。
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