土中に敷設したジオテキスタイルが、下方からの毛管水遮断効果を調べるために、5種のジオテキスタイルを使用した室温での毛管上昇試験、変水位試験、そして室内凍上試験を行った。 室温での毛管上昇試験では、火山灰粘質土においては、毛管上昇速度と含水比分布に関連性が見られ、ポリプロピレン繊維の三重構造シートが最も毛管遮水効果があり、エンボス構造の有孔型プラスチック芯体の板状構造、ポリエステル繊維のマット構造もかなりの遮水効果が期待できることが分かった。しかし、砂質土では明確な遮水効果が見られなかった。毛管遮断効果の大きいジオテキスタイルを選択する場合、保水性が高く凍上性の高い試験土を用いると、毛管上昇試験である程度のその効果の判別が可能と思われる。 次に、変水位透水試験では、毛管水を遮断をする目的で使われるポリプロピレン繊維の三重構造シートが、上からの重力水に対しては比較的透水性があるが、変水位透水試験では毛管水を遮断をするジオテキスタイルの判断はできないことが分かった。 他方、室内凍上試験では、ポリプロビレン系の薄い不織布とポリエステル繊維のマット構造を使用した場合、水分張力の上昇増加勾配が大きいことから遮水効果は小さいと言える。また、三重構造シートや有孔型プラスチック芯体の板状構造を使用した場合は、上昇増加勾配が小さいことと比較的早期に増加が始まることから、遮水効果が十分行われていると考えられる。このことから、水分張力の上昇増加勾配と時期から、各種のジオテキスタイルの遮水効果が判断できると考えられる。また凍結吸水量の変化より、三重構造シートが最も遮水効果が大きいことがわかった。また、遮水効果を調べるためには、実験終了時の測定よりも、凍結時における土の水分張力の測定が重要であることがわかった。
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