収益を重視した畜舎の経済的最適環境制御機器の開発を目的として、平成4年度から平成6年度の3年間にわたり検討した結果、次の成果を得た。 1)豚舎における経済的最適環境制御のアルゴリズムを構築するため、既往の肥育豚成育値を分析した結果、飼料要求率からみた最適舎内気温と、収益を評価関数とする最適舎内気温とに差が認められた。豚舎の経済的最適環境制御が有効であることが示唆された。 2)試作した豚舎の経済的最適環境制御機器の有効性を検証した。酷暑時に頭数が減少したものの、供試育成豚は順調な成育を示し予測された飼料要求率3.0にちかい値を得た。 3)気温および湿度の熱環境因子が採卵鷄の成長に伴う熱収支に及ぼす影響を検討した結果、日平均気温および日平均湿度と日産卵重とは密接な関係が認められた。日産卵重と日平均気温との相関は、肥育豚の日増体重と日平均気温との相関より約2倍〜3倍も高かった。鶏舎内気温を制御することにより、産卵重を制御できる可能性が認められた。 また、残された課題は次のようである。 1)各種の家畜について、経済的最適環境制御の基礎となる、気温や湿度の環境因子が家畜の成長に及ぼす影響を定量化する必要がある。 2)収益の評価については、2〜3年にわたる長期の飼養試験が必要である。 3)畜舎の経済的最適環境制御機器の問題点として、豚舎内のアンモニアガスや雷などの突発的な電気ショックにも耐えられる安全装置の開発が必須である。
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