研究概要 |
目的 ラットのED2モノクローナル抗体陽性マクロファージ(ED2Mφ)が抗体産生細胞と形成するロゼット(細胞集塊)を免疫組織学的に解析し、種々の免疫応答とロゼットの相関を調べ、微小環境としてのロゼットとそれを形成するED2Mφの意義を考察する。 結果 平成4年度(1)ED2Mφが、赤脾髄の造血巣で赤芽球ともロゼットを形成することを証明した(補助金受領直前に発表)。(2)ロゼット内の抗FITC抗体産生細胞とラット免疫グロブリンサブクラスを2種免疫染色すると、抗体産生細胞は主にIgMを作っていることがわかった(未発表)。(3)免疫電顕は現在検索中である。 平成5年度(1)FITC-標識ヘモシアニン抗原を作成し、抗体産生細胞がやはりouter PALSでED2Mφとロゼットを形成していることを認めた(未発表)。さらに、ラットのマラリア感染脾臓を検索し、ED2Mφと抗体産生細胞が白脾髄に多数出現すること、また、その両者がやはり、ロゼットを形成することを明らかにした(国際学会で発表、投稿準備中)。(2)本研究は萠芽的研究として、免疫組織学と言う学問領域の重要性を提唱している。その一貫として、マクロファージの増加を主体とするラット実験膵炎のモデルを作成し(Gastroenterology,1993)、2重免疫染色によりマクロファージ亜群の盛んな増殖を証明した(Arch.Histol.Cytol.,1993)。 考察と今後の研究の展開 ED2Mφが、種々の人工抗原のみならず、実際の感染防御においても、抗体産生のために普遍的で、欠くことのできない微小環境を形成している事が考えられた。さらには、造血系の細胞群を支える微小環境も形成している事が強く示唆された。今後、共焦点レーザー顕微鏡を使って、二重蛍光染色したED2Mφと抗体産生細胞のロゼットの三次元構築をあきらかにしたいと考えている。
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