研究概要 |
生後6週,8週,10週のラットをペントバルビタール腹注により麻酔しその後経心的に3.7%パラホルムアルデヒド(PBS)を用いて還流固定し,常法により脳をとり出す。一晩同一固定液後で後固定後,クライオスタットを用いて厚さ16μmの連続凍結切片を作成した。一部のラットは固定。 1週間前,2週間前にBrdUを投与した。免疫組織化学はFITCあるいはローダミンにより標識された二次抗体を用いて間接蛍光抗体法により行った。まずBrdU投与ラットを用いて抗BrdU抗体と抗ドレブリン抗体(抗血清)との二重染色を試みた。しかし側脳室前角から嗅球へ向かって脳室上衣下層を移動中の嗅球顆粒細胞の前駆神経芽細胞がBrdUで標識されることはなかった。BrdUの投与方法に対する工夫が必要であると思われる。上記移動細胞はドレブリン,H-NCAMを発現していることが,免疫組織化学によりわかった。これらの細胞はMAP2,SVP38,NSE等のいわゆる神経細胞のマーカーは発現していなかった。しかしながらGFAPで染まる細胞とは異なるので,比較的未分化な神経細胞であると考えられた。またこれらの細胞と同じ領域の異なる細胞集団が、GFAPとビメンチンを同時に発現していることがわかった。したがってこれらGFAP,ビメンチン両陽性細胞は未熟なグリア細胞,すなわちラディアルグリアと類似の細胞であると考えられた。これらのことは,ドレブリン陽性細胞が,未熟な神細胞であることを示していた。
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