研究概要 |
形態制御は、細胞膜周辺に存在する多細胞構築を行なう蛋白群によってコントロールされると考えられるので、ファジ-セットクローニング法を適用する事とした。先ず骨子として、基底膜に対する抗体を使用して、λgt11の蛋白発現型のcDNA Libraryより陽性プラークを拾って来た。次に、これらのクローンが、実際に形態制御に関与しているかどうかをラットに四塩化炭素で引き起こした肝硬変で調べた。ここで有意に発現が変動したものは、塩基配列を決定し、コンピューターによるホモロジー検索を行い新しい蛋白か、有意義な蛋白かの決定を行ないプロフィリンを見つけた。 ラットに四塩化炭素肝硬変を作製し経時的に72hrsプロフィリンやファイブロネクチンやType I,III,IV mRNAの発現パターンを比較検討した(Acute Phase)。次に、Acute on Chronic Phaseのパターンを観て、Chronic Phaseに於ける四塩化炭素の注射の効果の相違を観た。更に、再生肝に於けるパターンを観て線維化と再生の違いを検討した。Acute Phaseで、四塩化炭素注射後ファイブロネクチン、プロフィリンのmRNAの上昇を認めた。Chronic Phaseでは、注射後72時間後のプロフィリンは上昇していた。ファイブロネクチンは、自然成長コントロールよりも低かった。 平成5年度は、線維の侵行にそってプロフィリンが、活性化しているのかどうかを詳細に観るために、プロフィリンのペプチドに対する抗体を作製し、正常と線維化した肝臓の組織で、蛍光抗体による観察を行った。 プロフィリンの蛍光抗体法による染色でプロフィリンは線維化の方向に一致して局在していた。再生肝のパターンとは、全く違っていた。
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