消化管内分泌細胞腫瘍の発生進展の特性と分子病理学的解析

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04807022
• 研究機関: 新潟大学
• 研究代表者: 岩渕 三哉 新潟大学, 医学部, 講師 (70143766)
• 研究分担者: 渡辺 英伸 新潟大学, 医学部, 教授 (70037381)
• キーワード: 消化管 / カルテノイド腫瘍 / 内分泌細胞 / PCNA / P53 / K-ras

研究概要

消化管内分泌細胞腫瘍の発育進展の特性と分子病理学的解析に関して4年度は低異型度低悪性度カルチノイド腫瘍(cd)、高異型度cd(転移例)、高異型度高悪性度内分泌細胞癌(ECC)、低分化充実腺癌(por)を対象として、(1)細胞増殖能、(2)P53遺伝子異常、(3)K-ras遺伝子異常を検討した。
細胞増殖能はPCNA免疫染色で検討した。PCNA陽性細胞は低異型度cd、高異型度Cd、ECCの順で増加し、ECCはporと同程度の細胞増殖能を示した。P53遺伝子異常はP53monoclonal抗体を用いた免疫染色で検討した。cdとECCはP53陰性であった。現在in situ hybridizationによる検索を加えている。K-ras遺伝子異常はPCRを用いたサザンブロット法で行った。検索した直腸cdは全例異常なく、ECCの1個にコドン12の点突然変異を認めた。
本腫瘍群の発育進展の特性を細胞増殖能と遺伝子異常から解析し、新たな知見をえた。

研究成果

• [文献書誌] 渡辺 英伸,加藤 法導,渕上 忠彦,佐藤 敏輝,岩渕 三哉,他: "微小胃癌からみた胃癌の発育経過病理形態学的解析" 胃と腸. 27. 59-67 (1992)
• [文献書誌] 岩渕 三哉: "病理組織診断における電子顕微鏡の有用性消化管:診断の決め手となる電子顕微鏡所見" 病理と臨床. 10. 238-245 (1992)
• [文献書誌] 岩渕 三哉,渡辺 英伸: "消化管の生検組織診断の問題-再生異型と癌との鑑別" 病理と臨床. 10. 638-644 (1992)
• [文献書誌] Noda Y.,Watanabe H.,Iwafuchi M.et al.: "Carcinoids and endocrine cell micronests of the minor and major duodenal papillae.Their incidence and characteristics." Cancer. 70. 1825-1833 (1992)
• [文献書誌] Noda Y.,Watanabe H.,Iida M.,Narisawa R.,Iwafuchi M.et al.: "Histologic follow-up of ampullary adenomas in patients with familial adenomatosis coli" Cancer. 70. 1847-1856 (1992)
• [文献書誌] 岩渕 三哉,渡辺 英伸: "消化器癌切除、材料取扱いの基本" 臨床外科. 48. 15-21 (1993)