研究概要 |
悪性リンパ腫の一型でHodgkinリンパ腫(HD)と関連の深いKi-1リンパ腫(Anaplastic Large Cell Lymphoma,ALCL)の発症の関わる遺伝子のクローニングを行い、その発症に関わる分子機構を明かにすることを目的として、t(2;5)染色体転座を持ったKi-1リンパ腫症例を重症免疫不全SCIDマウスに移植し、この腫瘍株細胞を材料として解析を行っている。転座切断点を含むDNA領域をクローニングするために、まず第二染色体短腕上の転座切断点近傍に位置すると考えられるPOMC,APOB遺伝子をマーカーとしてヒト全ゲノムYACライブラリーのPCRスクリーニングを行った。APOB遺伝子のノンコーディング領域にプライマーをセットしPCRを行った結果、第二染色体特異的なPCR産物の増幅を認めた。三次元YACライブラリーDNAプールのスクリーニングにより、APOB遺伝子領域を含むと予想されるYACライブラリークローンは65/67、680クローンに限定され、さらにコロニーPCR法で二つのポジティブクローンに絞られ、パルスフィールド電気泳動の結果、およそ320kbと355kbのシングルYACクローンを得た。一方、POMC遺伝子の第一エクソン内にプライマーをセットしPCRを行った結果、POMC遺伝子近傍に少なくとも三個のシングルYACクローンを得た。このクローンのサイズについては現在分析中である。APOB,POMC遺伝子を含むこれらにYACクローンを手がかりにしてクロモソームウォーキングにより転座切断点を含むDNA断片を単離することを目指している。
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