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1993 年度 研究成果報告書概要

細菌に存在するスフィンゴリン脂質の病原因子としての役割

研究課題

研究課題/領域番号 04807029
研究種目

一般研究(C)

配分区分補助金
研究分野 細菌学
研究機関岐阜大学

研究代表者

武藤 吉徳  岐阜大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (80190859)

研究期間 (年度) 1992 – 1993
キーワードスフィンゴリン脂質 / 嫌気性菌 / 病原因子
研究概要

薄層クロマトグラフィーと赤外吸収スペクトルによる分析から、Bacteroides fragilisには2種類のスフィンゴリン脂質が存在することが明らかになった。すなわち、一方は極性基部分がエタノールアミンのセラミドホスホリルエタノールアミン(CPE)であり、他方はグリセロールを極性基として持つセラミドホスホリルグリセロール(CPG)である。Bacteroides属の他の菌種についてもスフィンゴリン脂質の分布を検討してみると、多くの菌種が複数種のスフィンゴリン脂質を持っており、CPEとCPGはB.fragilis、B.ovatus、B.uniformis、B.caccae、B.eggerthii、B.thetaiotaomicron、B.stercorisの7菌種で検出された。また、Bacteroides属と近縁のPrevotellaとPorphyromonasにおいてもCPEとCPGが見いだされた。ラット由来の培養細胞であるPC12細胞にBacteroides fragilisのスフィンゴリン脂質(CPEとCPGの混合物)を10μg/mlの濃度で加えて培養すると、細胞の増殖は著しく抑制され、細胞が死滅していく傾向が認められた。また、PC12細胞はジブチリルサイクリックAMPに反応して顕著な神経突起を形成することが知られているが、本細胞をジブチリルサイクリックAMP存在下で、1μg/mlのBacteroides fragilis由来スフィンゴリン脂質を加えて培養すると、対照のスフィンゴリン脂質無添加の場合に比べ、スフィンゴリン脂質存在下では神経突起の形成が著しく阻害された。これらの実験成績は、Bacteroides fragilisのスフィンゴリン脂質が哺乳類細胞の増殖や分化に影響を及ぼすことが出来ることを強く示しており、本脂質が宿主内で病原因子として機能する可能性を強く示唆するものである。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] 渡辺邦友 他: "In vitro susceptibility of clinical isolates of Bacteroides fragilis and Bacteroides thetaiotaomicron in Japan." Eur.J.Clin.Microbiol.Infect.Dis.11. 1069-1073 (1992)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 田中保知 他: "化学療法剤評価法としての実験的マウス腹腔内膿瘍モデルの検討" CHEMOTHERAPY. 40. 1224-1230 (1992)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 加藤信子 他: "Bacteroides属に存在する複数種のスフィンゴリン脂質について" 嫌気性菌感染症研究. 23. 27-30 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 渡辺邦友 他: "新経口カルバセフェムloracarbefの嫌気性菌および好気性菌に対する抗菌作用" CHEMOTHERAPY. 41. 23-30 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Watanabe, K., Ueno, K., Kato, N., Muto, Y., Bandoh, K., Tanabe, Y., Jotwani, R., Goto, M., Shimada, K., Shimizu, K., Goto, S.and Hara, K.: "In vitoro susceptibility of clinocal ispolates of Bacteroides fragilis and Bacteroides thetaiotaomicron in Japan." Eur.J.Clin.Microbiol. Infect.Dis.11. 1069-1073 (1992)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Tanaka, Y., Watanabe, K., Shimakura, Y., Bandoh, K., Muto, Y., Kato, N.and Ueno, K.: "Experimental mice intraabdominal abscess model for the evaluation of chemotherapeutic agents." CHEMOTHERAPY. 40. 1224-1230 (1992)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Kato, M., Muto, Y., Tanaka, K., Tanaka, Y., Watanabe, K.and Ueno, K.: "Distribution of phosphosphingolipids in the genus Bacteroides." Journal of Japanese Association for Anaerobic Infection Reseach. 23. 27-30 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Watanabe, K., Katoh, N., Muto, Y., Tanaka, K., Tanaka, Y., Katoh, H.and Ueno, K.: "In vitro antibacterial activity of novel carbacephem, lorcarbef, against anaerobic and aerobic bacteria." CHEMOTHERAPY. 41. 23-30 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

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公開日: 1995-03-27  

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