研究課題/領域番号 |
04807030
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
中野 康伸 自治医科大学, 医学部, 講師 (70207851)
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研究分担者 |
斎藤 慎二 自治医科大学, 医学部, 助手 (50195989)
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キーワード | microcystin / 腫瘍壊死因子 / インターロイキン6 / インターロイキン10 / 活性酸化窒素 / モノクロナール抗体 / microcystis |
研究概要 |
Microcystis aeruginosaより分離した毒性無菌株(K-139)の粗毒素をマウスに投与すると腫瘍壊死因子(TNF)が血中に現れ、急性の肝障害を引き起こすことを既に報告した。その後この菌体から7-desmethyl microcystinLR(以下microcystin)という毒素を分離精製し、cytokine誘導能について検討した。マウスの腹腔にmicrocystinを投与すると1時間後に血中にIL-6が現れ3〜4時間で約80U/mlになった。in vitroでチオグリコレート誘導腹腔マクロファージにmicrocystinを添加した実験でも、IL-6誘導が認められた。次に抑制性cytokineであるIL-10を予め投与しておくとこのIL-6の上昇が抑えられただけではなく、マウスの生存率もコントロールに比べて上昇した。しかも抗IL-10抗体投与マウスのmicrocystinによるLD_<50>はコントロール抗体投与群に比べ低下した。従ってmicrocystinによるうっ血、出血を主体とする肝障害は、IL-6、IL-10が関与するcytokineネットワークの破綻が寄与する可能性が示唆された。 次に細胞障害因子の一つとして注目されているアルギニンの代謝産物である活性酸化窒素(NO)の毒素による誘導能をマウス腹腔Mφを使って調べた。その結果、in vitroで刺激12時間で上清中に10〜20nMの活性酸化窒素が検出され、microcystinはマウス腹腔MφからNOをも誘導できることが確認された。 Microcystinに対するモノクローナル抗体も作成を続けている。しかし、現在までの段階では何れの抗体も毒素産生株だけではなく、毒素非産生株とも交差反応を示しており蛍光抗体法による生体分布などの臓器レベルでの解析までには至っていない。これは毒素非産生株が微量の毒素を出している可能性や毒素と交差する物質を出している可能性等が考えられ、現在検討中である。
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