研究課題/領域番号 |
04807043
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内科学一般
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
倉恒 弘彦 大阪大学, 医学部, 助手 (50195533)
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研究分担者 |
木谷 照夫 大阪大学, 医学部, 教授 (80028406)
田川 進一 大阪大学, 医学部, 助手 (70171569)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | 慢性疲労症候群 / カルニチン / アシルカルニチン / リムルス反応 |
研究概要 |
我々は、慢性疲労症候群の多くの症例では細菌感染や炎症などの所見がまったく見られないにもかかわらず、リムルス反応が陽性になるという新たな知見を見い出した。リムルス反応を陽性化させるカスケードは2つあり、1つはエンドトキシンなどのC因子活性化物質で、他の1つはβグルカンなどのG因子活性化物質である。CFS症例に見られるリムルス反応陽性化は、G因子を含まないエンドスペシー検査の陽性率が低いことより、エンドトキシンではなくG因子活性化物質によると思われる。CFS症例には真菌感染症などを疑わせる成績が全く見られないことより、βグルカンとも異なる物質の可能性もある。そこで、CFS患者血漿をカラムクロマトグラフィーなどにより分画し、活性化物質の性状を明らかにすべく試みているが、現在のところその単離・精製に至っていない。従来我々が採用していた阻害物質除去法(PCA法)では、蛋白結合型の活性化物質自体を除外してしまう可能性が考えられ、現在阻害物質の除去法として希釈加熱法を採用し、また感度・精度を上げるためゲル化転倒法を比濁時間分析法に改良して各フラクションごとの活性化物質について検討を行っている。 次に、我々はCFSの多くの患者では脱力、筋肉痛、軽度の労作後の強い倦怠等の筋症状を伴っていることに着目し、筋肉におけるエネルギー代謝にとって欠かすことのできないカルニチンの測定を行なったところ、CFS患者では正常人と比較して脂肪酸と結合したアシルカルニチンが血清中において明らかに減少している事を世界で初めて見い出した(Clin Infect Dis,1994)。 我々が見い出したCFS患者における血清中アシルカルニチンの減少は、フリーカルニチンの濃度は正常であり、従来報告されてきた2次性カルニチン減少症とは全く異なる病態である。血清中アシルカルニチン濃度は、CFS患者における病状が回復するにともなって増加が認められ病状と良く相関しており、CFSの病因・病態を解明する上で極めて重要な手がかりであると思われる。
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