研究概要 |
今までの、我々の研究により、以下の点が明らかとなってきた。 ヒト潰瘍性大腸炎については、1.病変粘膜内に小桿菌、および、球菌の侵入が認められた。CJ.Gastroenteology & Hepatology、1993.in print) 2.抗生剤を用いた、特殊粘膜培養により上記の侵入菌が、BacteroidacaeとStreptococciであることが判明した。(1992年10月、日本消化器病学会大会にて発表)。現在、粘膜培養菌を同定し、菌の持つLPS、毒菌等の分析を行い、その病原性につき、研究中である。 デキストラン硫酸投与による実験的潰瘍性大腸炎については、3.デキストラン硫酸投与により、マクロファージの細菌貧食能が低下するこを証明した。(GUT 1993年。投稿中)。4.炎症腸管局所の免疫グロブリンについては、急性期には、IgAの産生分泌がほとんどであるが、慢性期になってくると、IgGの産生分泌が有意に増加してくることが、モノクローナル抗体を用いた分析で明らかとなった。この結果から、ヒト潰瘍性大腸炎において,IgGが増加するとか、IgAが増加すると慢性期の病変粘膜について、一致しない結果報告が出るのは、大腸炎の罹病期間や、炎症の再免により、局所病変粘膜の免疫グロブリンが変化するためではないかと推測された。(1992年9月、第1回欧州統合消化器病週間にて報告)。 現在、上記 1.については論文発行であり、3.は投稿中、4.論文作成中であり、2.については、研究中である。又、糞使中硫酸多糖体については、ヒト、および、実験的潰瘍性大腸炎、両者にて測定中である。
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