研究概要 |
今までの,我々の研究により、以下の点が明らかとなってきた。 ヒト潰瘍性大腸炎については、抗生剤を用いた特殊粘膜培養により、病変粘膜内の侵入菌が、Bacteroidaceal,Fusobacterium,とStreptococciであることが判明した。これらの分離株を同定し、菌の有する毒素の分析を行ったところ,Bakteroides splanichusとFusobacteriom variumが、Vero toxin(VT)を産生することが判明した.F.variumはさらに,コレラ菌の毒素の1つであるSTも有しており、さらに両菌はHelの細胞に対する細胞侵入性も有していることが発見された.VTは赤痢菌や,病原性大腸菌が持つ毒素とされているが,上述した両歯が有していると言う報告はない。又、VTが粘膜障害性を有することから、この両歯が潰瘍性大腸炎の原因菌である可能性は大であり,現在、その毒素のVT_1,VT_2(既知のVT)との遺伝子学的相同性や、毒素精製、産生遺伝子のクローニングを計画しているところである。 デキストラン硫酸投与による実験的潰瘍性大腸炎については,昨年と比べ研究はあまり進展していないが,デキストラン硫酸投与により、マクロファージの細菌貧食能が低下することを論文化し、Digestionに採用された.(Digestion 1994年 in print).又、炎症が慢性化することにより粘膜の免疫グロブリンがIgAだけでなくIgGが増加していくことを論文にし,現在投稿中である。
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