研究概要 |
今年度の研究計画はパーキンソン振戦の数理的モデルの完成と学習システムの構築が基礎となっていため、現有のVaxワークステーションと今回新たに購入したMacintochIIciとゲートウェイシステムFast Passによって結合して、柔軟なマンマシン・インターフェイスに優れるとともに振戦数理解析に必要な計算能力を備えた生体シミュレータを構築した。このシミュレーションシステムを用いて,体内LーDopa代謝の簡易モデルを作成しオンオフ現象の基礎シミュレーションを行なった。その結果、我々が提唱してきた「中枢よりの修飾情報による末梢フィードバックループを用いたパーキンソン振戦のモデル」のオンオフ現象解析モデルへの適用が原則的には可能であることがわかった。(雑誌論文1)本シュミレーションの結果を今までの臨床データを対応させた結果、内生ドーパミンの減少につれ中枢からの錐内筋への刺激が増加するため振戦周波数は低減しその振幅は20倍にも増大してオンオフ現象と見做せる現象が計算機上でも再現できることが判明した。また計算機シミュレーションと並行して行なった患者4名を用いた振戦周波数計測変容実験においては、前腕の物理的負荷により振戦周波数が上昇する現象が発見されたが、このLoad effectをも我々の提唱するモデルはシミュレート可能なことが計算結果により確かめられた。(雑誌論文2)今後、以上の知見をもとにマイコンに収納可能な程度の簡易数理モデルをC言語で構築し、最終目標である「患者自身による枕頭投薬量指示装置」の開発を推進する予定である。また振戦が教育評価上問題となっている溶接作業のシュミレータに今回の振戦モデルを適用することなど人間工学分野への応用の可能性も考えられている。(雑誌論文3)
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