研究課題/領域番号 |
04807065
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
今泉 益栄 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (40191895)
|
研究分担者 |
小泉 善嗣 東北大学, 医学部・附属病院, 助手
井出 宏行 東北大学, 理学部, 助教授 (70022704)
|
キーワード | 急性前骨髄性白血病 / retinoic acid / PML / RARの遺伝子 / 分化誘導 |
研究概要 |
I.【APL細胞におけるPML/RARα遺伝子発現と融合点の解析】 これまで11例のAPLでAPL/RARα遺伝子の融合点をRT-PCR法により明らかにした。さらにうち2例においてPML/RARα遺伝子の融合点をDNAシークエンス法で解析した。その結果、RARα遺伝子上の融合点は共通で、第2・3エクソン間であった。これに対して、PML遺伝子上の融合点は異なり、1例では1183番目の塩基であり、他の1例は異なる融合点(1255番目塩基と1658番目塩基でありalternative splicing exonを形成する)である事が判明した。この例はさらに、in vitroでRAにより分化誘導したAPL白血病細胞、並びにRA投与中の患者骨髄細胞のPML/RARα遺伝子発現をRT-PCR法で解析し、発現レベルの低下を示す結果を得た。 II.【APL細胞の分化誘導におけるRAとG-CSFあるいはGM-CSFの相互作用】 7例のAPL患者白血病細胞をin vitroでRetinoic acid(RA)とG-CSFあるいはGM-CSF存在下で培養し、形態並びに機能的成熟を検討した。その結果、(1)RA単独刺激によりAPL細胞は増殖能が低下し、NBT還元能獲得や形態学的成熟を示すが、遊走能の獲得はみられず機能的成熟は不完全であった。これに対し、(2)APL細胞に対するG-CSFあるいはGM-CSF単独の作用は、増殖刺激優位であり、分化成熟の促進作用は乏しい。しかし、(3)RAとG-CSFあるいはGM-CSFの相互作用により、APL細胞は形態並びに機能的に成熟しつつ増殖能が増加した。これらの結果はAPL患者のRA分化誘導療法に合併する白血球増多症にCSFなどの生体因子の相互作用関与を示唆するものであった。
|