平成4年度には羊胎仔の経静脈性心室ペーシングについて検討した。 羊胎仔における経静脈性ペーシングのペーシングレートと心拍出量 〔方法〕(急性実験) 妊娠羊(5頭)を腰椎および静脈麻酔し、開腹して子宮を切開、胎仔頸部を露出した。これを切開し左内頸静脈を露出し、内頸静脈から経静脈性ペーシングリードを経三尖弁的に右室へ挿入し、心エコー法を用いて洞調律時(リード挿入前)と心室ペーシング(VVIペーシング)時の心拍出量を測定し、ペーシング前後での心拍出量と三尖弁逆流について検討した。 〔結果〕ペーシングリードの右室への挿入は安全・確実に行なえた。ペーシングリードを経三尖弁的に右室に挿入すると三尖弁逆流が出現したが、その程度は僅かであった。心拍出量はペーシングリード挿入により洞調律時(リード挿入前)の70%に減少したが、心室ペーシングにより洞調律時と同程度に回復した。高頻度の心室ペーシングでは心拍出量はむしろ減少した。 〔結語〕従ってこの方法は、三尖弁逆流が出現するなど問題点はあるものの、適切なペーシングレートを設定すれば胎児徐脈の治療に用いられる可能性がある。
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