平成7年度は羊胎仔の慢性心房ベーシングについて検討した。 [目的]羊胎仔の慢性右心房高頻度ベーシングの可能性を明らかにする。 [方法]妊娠羊(2頭)を腰椎および静脈麻酔し、開腹して子宮を切開、胎仔の右胸部を露出した。次いで胎仔の右側開胸し、心房ベーシングリード2本を右心房に縫着した。胎仔の閉胸し、母体の子宮を閉じて閉腹した。ベーシングリードの他端を母体の腹壁に出した。手術からの開腹を待って体外式ペースメーカーにつなぎ、心房高頻度ベーシングの慢性実験の可能性について検討した。胎仔心拍数は超音波心エコー法により検討した。 [結果] 1.ベーシングリードの右房への縫着は安全・確実で、術後3日間で胸水は消失し回復した。 2.回復後、右心房は低電流でベーシングされた。 3.長期の心房高頻度ベーシング後、再び胸水が出現した。 [結論]この方法により、胎児の不整脈治療に胎内心房ベーシング導入の可能性が明らかになった。また、この実験系は胎児の頻拍性不整脈の慢性実験モデルとなりうることが明らかになった。
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