平成4年度には羊胎仔の経静脈性心室ペーシングを検討した。 羊胎仔における経静脈性ペーシングのペーシングレートと心拍出量について検討した。この方法は、三尖弁逆流が出現するなど問題点はあるものの、胎児徐脈の治療に用いられる可能性がある。 平成5年度には羊胎仔の心房ペーシングについて検討した。 羊胎仔における右心房ペーシングのペーシングレートと心拍出量および動・静脈圧との関係を明らかにした。心房ペーシング頻度を段階的に変化させると(刺激頻度200/分以上では)心拍出量は減少し、動脈圧は低下し、中心静脈圧は上昇した。従って、胎児の不整脈治療に胎内心房ペーシング導入の可能性が明らかになった。また、この実験系は胎児の頻拍性不整脈の実験モデルとなりうる。 平成6年度は羊胎仔の慢性心房ペーシングについて検討した。 羊胎仔を右側開胸し、心房ペーシングリードを右心房に縫着した。長期の心房高頻度ペーシング後、胸水(心不全症状)が出現した。この方法により、胎児の不整脈治療に胎内心房ペーシングの可能性がある。また、胎児の心房性頻拍性不整脈の慢性実験モデルとなりうる。
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