研究課題/領域番号 |
04807071
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
木下 洋 関西医科大学, 医学部, 講師 (10105778)
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研究分担者 |
圀府寺 美 関西医科大学, 医学部, 助手 (90198614)
谷内 昇一郎 関西医科大学, 医学部, 助手 (70171832)
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キーワード | 新生児好中球 / 好中球運動能 / H_2O_2産生能 / サイトカイン / フローサイトメモリー |
研究概要 |
新生児では成人に比較して、細菌感染にかかりやすく、また重症化しやすいことが知られている。その1つの原因として、好中球の走化能・付着能の低下がある。本研究では、臍帯血好中球の走化能低下の原因を解明するために、フローサイトメトリーを用いて臍帯血好中球と成人好中球のF-アクチンを測定をし、その機能的解析およびサイトカイン特にG-CSF、TNFによるF-アクチンを介した好中球活性化の機序を検討した。 F-アクチンの測定にはNBD-phallacidinを使用し、好中球をFMLPで刺激して検討した。成人好中球をFMLPで刺激すると、蛍光強度を表すフローサイトメトリーのヒストグラムは1分後にピークに達し、漸減して無刺激の状態に近づいた。好中球の運動能は、(刺激後のmean channel/無刺激のmean channel)=F-アクチン index(FI)として表した。臍帯血好中球でFIを検討すると、FMLP10^<-7>Mでは1分後2.28、3分後1.87、5分後1.68と漸減した。これらは成人好中球に比較して75%値を示した。また、カルシウムイオノフォア、PMAでも同様に検討をした。分娩様式による比較検討では、帝王切開術と自然分娩の児の好中球でFIに有意の差を認めた。この結果は、これまでに我々が報告した51-クロミウムを用いた好中球付着能の結果とともに、分娩様式が好中球機能に影響をおよぼすことを示している。また、G-CSF、TNFなどのサイトカインのプライミング作用についてF-アクチンの動態を指標に順次検討している。これらのサイトカインは、機能的低下の状態にある新生児の好中球機能を活性化させ、新生児期における細菌感染症の治療に役立つものと考える。
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