1)抗アレルギー剤Amlexanox(AMLX)のallergenicityとtolerogenicityを検討し、AMLXには接触アレルギーと経口トレランスの強い誘導活性があることが判明した。AMLX点眼液使用前に、AMLX内服薬を一定期間服用するとAMLXによる接触皮膚炎の発生率が強く抑えられるが、逆にAMLX点眼薬接触皮膚炎患者に、AMLX内服薬の投与により減感作をはかると全身性の薬疹を惹起する危険があることが示唆された。 2)ピロキシカム(PXM)光線過敏症とチメロサール(TMS)/チオサリチル酸(TOS)過敏症間の交差反応をリンパ球増殖試験で検討すると共に、同じオキシカム系消炎鎮痛剤のテノキシカム(TXM)による光線過敏症を加えた三者の過敏症間の交差反応を皮膚試験で検討した。PXM光線過敏症の多くが1-2日以内に発症するのはTMSの交差感作により、TXM光線過敏症がPXM光線過敏症に比べ多くないのはTMSと交差反応しないことによる。PXM光線過敏症にて光照射が果たす役割は、photodecompositionやphotobindingなどに働くほかに、一種のadjuvantとして働くことが示唆された。 3)金属感作モルモットに各種金属の貼布試験を実施し、Ni2+-Co2+やHg2+-Au3+の間で一方向性の交差反応が見られ、金属酸化の役割が検討された。 4)眼科検査薬のフルオレッセイン(F)は、感作時と誘発時の投与によりβ-lactam剤E1040による汎発疹やPHA-Pによるリンパ球増殖反応を増強させたことから、ヒトでE1040疹の高率発症にFの関与が示唆された。 5)餌に小麦を用いた6週齢のBalb/cマウスに、不完全アジュバント(FIA)、完全アジュバント(FCA)、カンジダ抗原(CA)添加FIAなどを皮内または腹腔内に投与し、マウス血清中の総IgE抗体価や小麦抗原特異IgG/IgM抗体をELISA法で測定した。小麦特異IgG抗体価はCA投与群で対照の4倍に、総IgE抗体価もCA投与群が最も高値となり、CAはアレルゲンとしてだけでなく、アジュバントとしても機能していることが示唆された。
|