研究概要 |
佐賀医科大学附属病院総合外来におけるdoctor shoppingに関する臨床疫学調査を行った。本調査におけるdoctor shoppingの定義は、本院受診以前に同様の主訴で2箇所以上の医療機関を受診した患者をhighmedical users、それ以外をmedical usersとした(但し、high medical usersとdoctor shoppingを同義語として用いた。)さらに、これらの患者の社会背景、自覚症状を評価するためにGeneral Health Questionnaire(GHQ)、さらに厳密な精神科診断(DSM-III)を行うために、日本語版 NIMH Diagnostic Interview Schedule(DIS)(生涯版)を施行した。なお、今回慢性疲労症候群と慢性疼痛に関する調査は、時間的な制約があり、施行していない。 その結果、high medical users群は232/1077(21.5%)、medical users群は845/1077(78.5%)であった。DISが施行された患者(N=164)の社会背景(年齢・性・婚姻歴・学歴・職業)に関して、high medical users群(N=40)とmedical users群(N=124)の間に特に有意差はみられなかったが、学歴についてはhigh medical users群で低い傾向にあった(X^2=6.3,p<0.1)。30項目日本語版(GHQ)の結果では、high medical users群では10.3±7.7(S.D.)、medical users群では7.0±6.1(S.D.)であり、前者が有意に高かった(t tesr,p<0.01)。 日本語版DISによるDSM-III診断に関しては、high medical users群の40名中21名(52.5%)に何からの精神障害が認められ、その有病率はmedical users群に比較して有意に高かった(p<0.05)。精神障害の内容を高い順に提示すると、tobacco dependence 12.5%、major depressive episode 10%、alcohol abuse/dependence 10%、somatization 7.5%であり、high medical users群では、身体化障害が有意に高い結果が得られた(p<0.05,Fisher's exact test)。
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