研究概要 |
DMH誘発ラット大腸癌の腫瘍体積倍加時間(T_D)は腫瘍体積(T_V)によって変化し,T_V≦10mm^3ではT_D=17日±10(m±SD),10<T_V≦50mm^3ではT_D=28.8日±23.3,50<T_V≦100mm^3ではT_D=25.4日±10.1,T_V>100mm^3ではT_D=39.3日±25.0であり,T_V≦10mm^3ではT_Dが比較的一定してあることがわかった。従って制癌剤の有効率をみるときに,初回注腸X線検査で得られた腫瘍の体積が10mm^3以下のものを選んで,この条件下のm+2SD=37日より大のものを制癌剤有効と判定した。その結果,初回実験で得られた評価可能な各治療群のNの数は,5FU群7ケ,FT-207群7ケ,UFT群10ケ(有効率は各々14%,28%,40%)と少なかったため,さらにNを増やすべく,追加実験を行っている。S-Dラットを47匹購入し,DMHを皮下注して大腸癌を作製した。初回注腸造影を行い,腫瘍の大きさからみて,各群に均等に分布するように5FU群14匹,FT-207群12匹,UFT群14匹を設定し,現在連日強制経口投与を行っている。 初回制癌剤投与実験では,5週間の投与前後の体重の変動率には3群間で有意の差はなく,投与量には問題がないと思われた。現在続行中の追加実験でも同様である。また,初回実験で行った癌腫の組織学的検査では,高分化型腺癌が82%,中分化型腺癌が18%であった。組織型の差異による制癌剤の有効率には有意の差は認められなかった。
|