研究概要 |
発癌剤を投与した80匹のS-Dラットに人工肛門を造設したところ、術後の経過で24匹を失った。残り56匹に対して初回注腸X線検査を行ったところ、40匹に腫瘍が発見された。これらを腫瘍の数と大きさが均等になるように対照群とUFT群に分け経口投与を行った。2回目の注腸X線検査までにさらに7匹を失った。33匹(対照群6,UFT群17)の空置腸管に計87個の腫瘍が認められ、腫瘍の数は対照群3.2個/匹,UFT群3.0個/匹であった。腫瘍の肉眼型は亜有茎性または有茎性のものがほとんどで、組織学的に全て腺癌で分化度はほとんど高分化癌であった。2回の注腸X線検査で2回とも腫瘍体積(Tv)がわかり、腫瘍体積倍加時間(T_D)の算出が可能であったのは、44個(対照群19個,UFT群25個)であった。対照群のT_Dの平均は9.8日±4(SD)であた。UFTの効果判定は対照群のT_Dがm+2SD=17.8日を越えるものを有効と判定した。UFT群25個中12個が有効で有効率は48%であった。空置腸管における癌の発育速度は従来のDMH誘発ラット大腸癌(T_D=17日±10(SD))より約2倍速く、より一定していた。対照値が一定化したため、UFTの有効率は従来報告した36%より大になり、sensitivityは改善された。癌の発育速度のより一定な本実験系を用いた制癌剤効果判定法の可能性が示唆された。
|