| 研究概要 |
悪性脳腫瘍の解剖学的イメージと機能的イメージを統合する多重画像分析を試みた。その際に機能的画像自体が脳の病態をどの程度正確に反映するのかが大きな問題で、そのためにPositron Emission Tomogrphy(PET)でアミノ酸トレーサー(^<11>C-methyl)-L-methionine(C-11MET)を用い、CTおよびMRIとPETとの画像合成を行って解析した。
頭蓋内悪性リンパ腫5例とグリオーマ6例を対象としたが、全例でC-11METが高集積した。腫瘍部と対側灰白質のC-11MET摂取率比(T/NT)は、悪性リンパ種が2.33±1.68(平均±不偏標準偏差,1.18〜5.16,n=5)で、グリオーマは1.87±0.36(1.36〜2.35,n=6)であった。腫瘍と非腫瘍領域のC-11MET摂取率比(T/NT)を1.2に設定して腫瘍病変を二値化処理した。
二値化PETとCTおよびMRIの合成像で、C-11Met集積域のCTとMRI病変を越える"MET-lextension"が悪性リンパ種で皮質の2部位、グリオーマで5部位(皮質2部位)、基低核、視床、脳梁)に認められた。一方、CT・MRI病変がC-11Met集積域を越える"LD(HI)-extension"の多くは、グリオーマの皮質1部位以外はいずれも連合性線維領域であった。CTおよびMRIとPETとの画像合成は、悪性腫瘍の浸潤域や病態解析に十分有用と考えられた。
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