研究課題/領域番号 |
04807102
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大西 丘倫 大阪大学, 医学部, 助手 (70233210)
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研究分担者 |
平賀 章壽 大阪大学, 医学部, 助手 (40243232)
有田 憲生 近畿大学, 医学部, 助手 (80159508)
早川 徹 大阪大学, 医学部, 教授 (20135700)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | 脳腫瘍 / 悪性グリオーマ / 浸潤 / 運動性因子 |
研究概要 |
ヒト悪性グリオーマ細胞T98Gの培養上清より、自己の細胞の運動性を高める因子、グリオーマ細胞由来運動性因子(GMF)を7段階のカラム操作、即ち、gelatinアフィニティー、heparinアフィニティー、DEAE陰イオン交換(2回)、ヒドロキシアパタイト、ゲル浸透、SP陽イオン交換を行うことにより精製した。GMFはSDSポリアクリルアミド電気泳動上、分子量145,000および165,000の2種の分子、GMF-IおよびGMF-IIとして得られた。両GMF共、T98Gグリオーマ細胞の運動能を用量依存性に高めたが、GMF-IはGMF-IIの約5〜10倍の活性を示した。GMFのアミノ酸組成分析の結果、両GMFは極めて類似したポリペプチドであることが示唆された。構造解析では、両分子共、N末端アミノ酸はブロックされており、リジルエンドペプチダーゼによる水解後、得られたペプチド断片を逆相クロマトにより分別し、幾つかのピークについてアミノ酸配列を決定した。その結果、GMFはヒトフィブロネクチンと一部相同性を示すことが明らかとなった。GMFの生物学的機能の検討では、(1)GMFは正常グリアならびにグリオーマ細胞共、それらの増殖には影響を与えなかった。(2)GMFはその産生細胞であるT98Gだけでなく、他のグリオーマ細胞の運動性も高めたが、正常グリア細胞にはあまり影響を及ぼさなかった。(3)GMFに対する各種グリオーマ細胞の運動性の強弱は、マトリゲルを用いたin vitro浸潤性の高低と高い正の相関を示した。今後、GMFによる細胞運動性発現の分子メカニズムを明らかにすることにより、グリオーマ細胞の運動性の制御、ひいては腫瘍浸潤に対する治療法を開発することが課題である。また、GMFに対するモノクローナル抗体を作製し、組織内分布とGMFの機能解析を検討する予定である。
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