研究課題/領域番号 |
04807106
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
越智 隆弘 大阪大学, 医学部, 教授 (80112035)
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研究分担者 |
木村 友厚 大阪大学, 医学部, 講師 (80167379)
小野 啓郎 大阪大学, 医学部, 教授 (70028330)
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キーワード | 慢性関節リウマチ / 血清 / 細胞傷害 / インヒビター |
研究概要 |
慢性関節リウマチでは全身性組織傷害、全身性免疫異常をともなっており、これを説明するためには、血清また組織液中に非特異的に細胞傷害を起こす物質を求める必要があると考えた研究を進めた。その結果以下の新知見をみることができた。I)細胞傷害性因子(1)精製方法の確立:硫酸アンモニウム沈澱および、ゲル濾過、イオン交換を組み合わせて大量プール血清からも精製をすすめることができた。(2)分子生化学的特性の解明:cell lysisにより細胞破壊が起こると考えられたが、この活性はメタルプロテイネース活性、プロテアーゼ活性、ホスホリパーゼ活性とも異なりまた、TNFαとも、補体系の物質とも異なっていた。(3)細胞による傷害性の違い:特にどのような細胞が細胞傷害性因子により傷害を受けやすいかを細胞種別にcell line(CCRF-CEM:T細胞株、Raji:B細胞株、HL-60:骨髄球系細胞株、MC3T3E1:骨芽細胞株、NIH3T3:線維芽細胞株など)を用いて検討し、この物質はT細胞系のcell lineを傷害しやすいことがわかった。また、生理的濃度で健常者、及び慢性関節リウマチ患者の末梢血リンパ球を破壊することが解った。II)インヒビター ゲル濾過、イオン交換の組み合わせによりインヒビターを粗精製できるようになった。III)病型との関係 各患者において、細胞傷害性因子、インヒビターを測定した結果、細胞傷害性因子は重症な慢性関節リウマチ患者血清中に高活性であり、健常者や軽症な慢性関節リウマチ患者ではほとんど認めなかった。これに対しインヒビターは軽症なRA患者、および健常者に高活性であった。ここに我々は2つの新物質を得、慢性関節リウマチを、「末梢血中での細胞破壊」「全身性傷害」という全く新しい視点から解析できた。さらに病型ごとの臨床的相違についても検討した。
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