1.脳虚血時の血液脳関門のグルコース輸送機能と血糖値の関係を調べるため、まず虚血に先立つ病態としてのショックがあたえる影響について調べた。具体的にはラットエンドトキシンショックモデルを作成して、脳内微小透析法にて脳内グルコースおよび乳酸値を測定し、血糖値の変動が、血液脳関門のグルコース輸送能にどのような影響をもたらしているのかを調べた。その結果、エンドトキシンによるショックにおいても、血液中のグルコースは、すみやかに脳内へ輸送されており、血液脳関門のグルコース輸送能は十分保持されていることがわかった。(Anesthesiology報告済。) 2.同様に、低酸素血症のモデルにおいても、血液脳関門のグルコース輸送機能について調べた。その結果、グルコース輸液は、脳内の乳酸アシドーシスを進行させることがわかった。(Anesthosiolgy報告) 3.酸素法測定と微小透析法を加えた乳酸組織濃度の連続測定装置を作成し、出血性ショックモデルにおける肝臓および筋内中の乳酸濃度の連続測定に成功した。(Ciroulatory ShockおよびAmerican Joanal of Physiology報告済) 4.現在この乳酸濃度連続測定装置に加えて、グルコースの連続測定装置を作成中であり、また脳内への応用について試行中である。脳への応用が成功すれば、脳虚血モデルにおける最終段階の実験へ移行する予定である。
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