研究概要 |
発生期の心拍数変動と要因を明らかにする目的の鶏胚を用いるシミュレーション実験で、本年度は当初から計画の下記1,2および計画にはないが重要と思われた下記3,4を行った。 1.酸素濃度、CO_2濃度と心拍数変動の関係:ヒト胎児の低酸素状態と心拍数とは密接な関係があるため、本項目は最も重要かつ興味ある課題である。本研究では、鶏胚への酸素供給をいくつかの段階において制限し、この時の心拍数変化の状態を測定した。その結果ヒト胎児と同様な低酸素時に起きる一過性徐脈を観測することができた。またCO_2付加の実験も同様な変化を心拍数に与えるようである。 2.その他の薬物や強磁界、電磁波、超音波などの心拍数への影響:この課題に対する実験は、予備的な実験を現在行っている段階で、最近MRIの検査などで強磁界に曝される機会が生じ磁界の胎児への影響を調べることが急がれるために、磁界の付与を先行させて、シュレーション実験を開始した。しかし他の測定器への影響を少なくしかつ友効に磁束を付与するために工夫を要し、実験計画より少し遅れている。 3.研究進捗の過程で、外部環境変化を与えるための測定箱を整備し、温度、湿度の制御が正確にできるようになったので、温度低下と心拍数変化を詳細に調べたところ、孵卵開始12日目と17日目とで変化の仕方の違いが観測された。これは河原(山形大学)らの1/fゆらぎの変化の様子と一致するものである。 4.胎動に相当する胚の運動と心拍数変化との関係についてもヒト胎児と同様なシミュレーションの結果を得ることができた。 以上の結果の一部は、日本ME学会ならびに国際ME学会(IFMBE-IMIA)にそれぞれ発表している。
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