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1992 年度 実績報告書

ヒト唾液中の抗菌ペプチド,ヒスタチンの好中球機能の調節に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 04807132
研究機関岡山大学

研究代表者

杉山 勝三  岡山大学, 歯学部, 助教授 (30032890)

キーワードヒト唾液 / ヒスタチン / 好中球 / 過酸化水素 / 唾液内濃度 / 日内変動
研究概要

1.唾液内ヒスタチンの定量法の確立:
唾液中のヒスタチン類は、その構成アミノ酸の特殊性と多様性のために定量法は困難であった。特にヒスタチン類が唾液中では酸性の高分子ムチン類と結合し、不溶性沈澱物を形成することが障害となった。そのため唾液から0.1N塩酸を含むメタノールで抽出することを考案し、逆相カラム法を用いた高速液体クロマトグラフィーでヒスタチン1、3、5および6を同時に定量する方法を開発した。
その結果、クエン酸刺激によるヒト混合唾液中のヒスタチン濃度は30μMであった。その濃度は若年齢者群の方が高年齢者群より高い傾向を示したが、唾液蛋白当たりでは差が認められなかった。また男女の性差も認められなかった。更にヒスタチンの唾液内分泌の日内変動もなかった。それ故、ヒスタチンの分泌はホルモンなどの影響をうけないことが示唆された。
2.好中球のH_2O_2産生に対するヒスタチンの抑制作用:
好中球は口腔内において、有害刺激物や細菌類に対する生体防御の過程で種々の活性酸素を産生する。このうちH_2O_2は強力な殺菌作用があるが宿主組織の障害作用をも伴う。それ故、口腔内では好中球によるH_2O_2の過剰産生に対して抑制機構があるものと考えられる。
好中球をファイブロネクチンでコートした培養容器中で種々の刺激物(fMLP,PMA,TNF)と37℃で保温するとH_2O_2を産生する、この産生は時間と共に増大し、60‐90分で最大となる持続性の反応であった。低濃度(0.2‐1μM)のヒスタチンはH_2O_2の産生を著明に抑制した。しかし、好中球のfMLPに対する遊走能や、貧食能には影響しなかった。このヒスタチンの抑制作用は脂肪酸の添加によって反転した、これは好中球の活性酸素産生系において脂肪酸による活性化機構の存在と、ヒスタチンがこの過程に抑制的に働くことを示唆するものである。

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公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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